近年、生活習慣病の原因となる内臓脂肪の増加が問題視されています。そんな中、大正製薬から2024年4月に発売された肥満治療薬「あらい(アライ)」は、内臓脂肪を減少させることを目的に開発された注目の薬です。
この薬の主成分は「オルリスタット」と呼ばれる成分で、食事から摂った脂肪の一部の吸収を抑える働きがあります。具体的には、脂肪吸収酵素のリパーゼを阻害し、摂取した脂肪の約25〜30%が吸収されずに便として排出される仕組みです。これによって、内臓脂肪を効果的に減らし、生活習慣病の予防に役立てます。
あらい(アライ)の効果と使用条件
あらいは成人の内臓脂肪型肥満に効果が期待され、特に以下の方に適応されています。
- 男性で腹囲85cm以上、女性で腹囲90cm以上の方
- BMIが35未満の方(肥満症の重症例は対象外)
- 3ヶ月以上の食事や運動による生活習慣改善を試みている方
臨床試験では1年間使用した場合、内臓脂肪面積が約21.5%減少したデータも報告されています。
使用時の注意点と副作用について
あらいの使用で注意すべき主な副作用は、便の油漏れや脂肪便、便失禁などの消化器症状です。また、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収を妨げる可能性があるため、ビタミン補充が必要になることもあります。
使用時には薬剤師からの対面指導が必須で、妊娠・授乳中の方や特定の持病のある方は服用できません。副作用が強い場合や異常を感じた場合は必ず医療機関に相談してください。
薬に頼りすぎず、生活習慣の改善を大切に
あらいはあくまで内臓脂肪減少の補助であり、痩せるだけを目的とした薬ではありません。食事や運動の改善を中心に、健康的な生活習慣を継続しながら使用することが基本です。
自己判断での使用は避け、必ず専門家や薬剤師の指導のもと、安全に服用しましょう。
肥満治療薬「あらい(アライ)」について正しい情報を理解し、健康的な生活への一歩として役立てていただければ幸いです。不明点や不安があれば、医療機関での相談をお勧めします。