肥満は生活習慣病のリスクを高めるため、改善が求められています。特に近年は薬剤による肥満治療が進化し、効果的な選択肢が増えています。今回は最新の肥満治療薬について、効果や注意点を専門家の視点から解説します。
1. 肥満治療薬の現状と最新動向
日本でも注目されているのはGLP-1受容体作動薬という薬剤群です。これまでは主に注射剤が使われてきましたが、2025年4月からは「ゼップバウンド」という週1回注射で15〜20%の体重減少が期待できる薬が保険適用で使用可能になっています。
さらに、米国のイーライ・リリー社が開発中の飲み薬「orforglipron」は、72週で約12kgの減量効果を示すなど、飲み薬市場の拡大も期待されています。
2. 肥満薬の効果と使用適応
GLP-1受容体作動薬は脳の食欲を抑え、代謝を改善する働きがあります。日本ではBMIが27以上で、高血圧や脂質異常症、2型糖尿病など合併症を持つ患者さんを対象に使用が推奨されています。
自己判断での使用は避け、必ず医師の診察と指導のもとで服用することが大切です。
3. 副作用と安全管理
副作用としては吐き気や腹痛、下痢や便秘といった胃腸症状が多く、その他に頭痛や疲労感も見られます。重篤な副作用では膵炎や胆嚢炎などの報告もあり、異常があればすぐに医療機関を受診してください。
医師の指導のもと、服用のペース調整や必要に応じて中止することで安全に治療を続けられます。
4. 肥満治療の基本は生活習慣の改善
薬はあくまで補助的な役割です。食事管理や運動習慣の改善が根本的な治療の柱となります。薬だけに頼らず、生活全体を見直すことが長期的な健康維持に欠かせません。
肥満治療薬は医療用医薬品であるため、インターネットの自己投薬や非正規品の使用は危険です。必ず信頼できる医療機関で相談しましょう。
肥満治療は患者さん一人ひとりの体質や病態に合わせて行うべきです。疑問や不安があれば、専門医にご相談ください。