頭痛は誰にでも起こりうる身近な症状ですが、その中には命に関わるクモ膜下出血(SAH)のサインである場合もあります。特に突然の激しい頭痛があった場合、見過ごさず早急に医療機関を受診することが重要です。ここでは普通の頭痛とクモ膜下出血の頭痛を見分けるポイントを専門的な視点で説明します。
1. 普通の頭痛の特徴
- 痛みの種類: 締めつけられるような痛み、ズキズキや重だるい感じが多い。
- 発症の仕方: 徐々に痛みが強くなることが多い。
- 持続時間: 数時間から数日間続くこともある。
- 誘因: ストレス、疲労、緊張性頭痛、片頭痛など様々。
- 症状の範囲: 頭全体や特定の部位に生じ、光や音に敏感になることも。
2. クモ膜下出血の頭痛の特徴
- 痛みの種類: 突然「バットで殴られたような激しい痛み」と表現されることが多い。
- 発症の仕方: 瞬時に起こり、最大強度に達するのが非常に早い(数秒〜数分以内)。
- 持続時間: 激痛は持続し、痛みが和らぐことなく続く。
- 伴う症状: 吐き気、嘔吐、意識障害、けいれん、視覚異常、首の硬直(首が動かしづらい)などを伴うことが多い。
- 発症時の状況: 安静時や日常の軽い動作中にも起こることがある。
3. 見分け方のポイント
- 頭痛が「急激・突然」始まったかどうか(特に「今までに経験したことがない激しい頭痛」)
- 頭痛が最初から最大強度かどうか
- 吐き気や嘔吐、首の硬直、意識変容などの神経症状があるかどうか
- 頭痛のきっかけが特に思い当たらないか(例えば疲労やストレス以外)
4. もしクモ膜下出血を疑ったら?
クモ膜下出血は早期の診断と治療が生命予後に大きく影響します。これらの特徴にあてはまる場合は、ためらわずに救急で医療機関を受診してください。CT検査や脳脊髄液検査などで迅速に診断します。
頭痛は非常に一般的な症状ですが、「今まで経験したことがない突然の激しい痛み」には特に注意してください。専門家として皆さまの健康を守るためにも、異変を感じたらすぐに医療機関に相談することの重要性を強調したいと思います。