最近テレビやSNSでもよく見かける「オンライン自費診療クリニック」。スマホやPCから受診でき、保険診療ではなく自費(自由診療)で薬の処方や相談ができるサービスです。
今回は、その中でも話題の「痩せる治療」について整理してみます。
オンライン自費診療クリニックとは?
- インターネットを通じて医師が診察
- 保険が使えない代わりに、美容や生活改善、予防医療などニーズの高い領域で利用される
- 診療費・薬代はすべて自己負担
保険診療は自己負担が原則3割(高齢者は1割負担のことも)ですが、自費診療では全額負担になります。
ただし、保険診療では「診断名がついた病気に対しての治療」となるため、検査や加算がつく一方、安全面ではしっかり管理される仕組みがあります。
よく使われる診療内容
- 美容・健康系:AGA(薄毛治療)、ピル処方、美肌治療、ダイエット(GLP-1製剤など)
- 生活習慣・QOL系:睡眠薬やサプリ処方、性感染症検査
- その他:ED治療薬、渡航ワクチン
利用者は20〜40代が中心で、美容やライフスタイルに関わるニーズが目立ちます。
痩せる治療で使われる薬
1. GLP-1受容体作動薬(GLP-1ダイエット)
- 代表例:リベルサス(内服)、オゼンピック(注射)、マンジャロ(新薬)
- 食欲を抑え、胃の動きを遅らせる作用で体重減少に効果的
- 半年〜1年で体重の5〜15%減少の報告あり
- 副作用:吐き気、下痢、便秘、胆石、膵炎リスク
2. SGLT2阻害薬(糖尿病薬の流用)
- 例:フォシーガ、ジャディアンス
- 尿から糖を排出 → 体重がやや減る
- 効果はGLP-1より穏やか
3. 食欲抑制薬
- 日本で承認されているのはサノレックスのみ(厳しい条件つき)
- 海外ではフェンテルミンなどもあるが、日本ではオンラインでの処方はほぼ不可
4. サプリ・点滴
- ビタミンB群、L-カルニチンなどを組み合わせた「ダイエット点滴」
- 科学的根拠は弱め
GLP-1治療を始めるときの費用
1. 保険診療(糖尿病として処方)
- 初診+検査:3,000〜5,000円
- 薬代(例:リベルサス3mg/日):約2,500円(3割負担)
- 薬代(例:オゼンピック0.25mg/週):約4,000円(3割負担)
- 初診時合計:約6,000〜9,000円
- 継続費用は月5,000〜1万円前後
※注意:糖尿病であっても初診からGLP-1が処方されることは少なく、まずはメトホルミンなど他の薬から開始するのが一般的です。
2. 自費診療(ダイエット目的)
- 初診料:3,000〜5,000円(自費設定)
- 薬代:リベルサス 2〜3万円/オゼンピック 2〜4万円
- 血液検査:5,000〜1万円
- 初診時合計:約3万〜5万円
- 継続費用は月3〜5万円が目安
比較表
項目 | 保険診療(糖尿病治療目的) | 自費診療(ダイエット目的) |
---|---|---|
初診料+検査 | 約3,000〜5,000円 | 5,000〜1万円 |
薬代 | 2,500〜4,000円(3割負担) | 2〜4万円(全額自費) |
初診合計 | 6,000〜9,000円 | 3万〜5万円 |
継続費用 | 月5,000〜1万円前後 | 月3〜5万円前後 |
安全管理 | 定期採血あり、副作用チェック | 検査省略されることも |
メリットとデメリット
メリット
- 通院不要、スマホで完結
- プライバシーが守られる
- 保険では受けにくい治療に早くアクセス可能
デメリット
- 高額(毎月数万円)
- 血液検査などモニタリングが不十分なことも
- 中止するとリバウンドするケースが多い
- 広告が強調しすぎていて実際とギャップがある場合も
まとめ
オンライン自費診療クリニックは手軽で便利ですが、費用は保険診療の数倍かかります。GLP-1製剤は確かに効果的ですが、糖尿病の薬であり「誰にでも使える痩せ薬」ではないことも知っておく必要があります。
痩身治療を考えるときには、費用だけでなく「安全管理」「長期的なリスク」「生活習慣の改善とのバランス」を含めて、医師とよく相談することが大切です。